初めての転職面接。事前に質問例を調べてはみたものの、「何をどう答えるのが正解かわからない」と感じたことはありませんか?
とくに看護師の場合、志望動機や転職理由だけでなく、人柄や働き方の価値観まで細かく見られることもあります。無理に取り繕って答えた結果、自分らしさが伝わらない面接になってしまうことも少なくありません。
この記事では、実際によく聞かれる質問とその背景にある“面接官の意図”を解説しながら、「正直だけど前向きな」答え方のコツを紹介します。準備を通して、自信をもって面接に臨めるようにサポートいたします。
面接の目的を知ると答え方が変わる
転職活動において、面接は「合否を決める場」であると同時に、「マッチングの場」でもあります。
看護師の面接においても、単にスキルの確認だけでなく、「この人と一緒に働けるか」「チームになじめるか」といった人間性の部分も重視されます。
だからこそ、質問の背景にある「意図」を読み取ることが、正直かつ前向きな答え方の第一歩になります。
採用側が知りたいのは“あなたのリアルな姿”
面接では多くの方が「正解」を探して答えようとしがちですが、現場の採用担当者が知りたいのは「ありのままのあなたが、現場でどう働いてくれるか」ということです。
たとえば、以下のような視点でチェックされています。
- 応募動機がその職場にマッチしているか
- 看護観や仕事観に一貫性があるか
- 忍耐力や協調性があるかどうか
- 今の職場を辞めたい理由に“攻撃的”な印象がないか
そのため、「前職の悪口は避ける」「無理に良いことだけを言わない」ことが、むしろ信頼される答え方になります。
「正直さ」と「誠実さ」は別もの
「正直=なんでも赤裸々に話すこと」ではありません。面接における“正直さ”とは、自分の価値観や状況をきちんと把握し、誠実な姿勢で伝えることです。
たとえば、以下のような伝え方は好印象を与えます。
- 「人間関係がつらかった」と言いたいとき
→「チーム内のコミュニケーションで悩むことが多く、他職種との連携を学び直したいと考えました」 - 「給与に不満がある」と言いたいとき
→「今後のライフプランを考えたとき、収入と働き方のバランスを見直す必要性を感じました」
このように、感情ではなく「背景や意図」に焦点を当てた伝え方が、正直かつ前向きな印象につながります。
事前に“質問の意図”を知っておくと安心
面接でよく聞かれる質問には、以下のような「意図」があります。
よくある質問 | 採用側の意図 |
なぜ転職を考えたのですか? | 問題解決力や自立性、他責傾向がないか |
当院を志望した理由は? | 事前の情報収集力、価値観とのマッチ度 |
自分の強み・弱みは? | 自己理解の深さ、周囲との関係構築力 |
5年後、どんな看護師になりたいですか? | キャリアビジョンの有無、継続性 |
このような「意図」を理解したうえで準備をしておくと、質問に対して焦らず、自然体で答えることができます。
よく聞かれる質問とその“意図”を解説
面接でよく出る質問には、必ず「採用側が見ているポイント」があります。ただ単に模範解答を用意するのではなく、その裏にある意図を理解しながら、自分の言葉で整理することが大切です。
ここでは、看護師の転職面接で頻出の質問とその意図、そして回答例と“良いポイント”を解説します。
質問①「なぜ転職しようと思ったのですか?」
この質問の意図
- 問題解決力や前向きな思考を見ている
- 退職理由に「納得感」があるか
- 同じ理由でまた辞めないかどうかの確認
回答のポイント
- 前職への批判は避け、未来志向で語る
- 転職で何を実現したいのか明確に伝える
回答例
「前職では急性期病棟での勤務が中心でしたが、もっと患者さんとじっくり関わる看護がしたいと思い、回復期病棟を探すようになりました。」
良いポイント
- 前職での経験を否定せず、自分の価値観の変化にフォーカスしている
- 転職動機が明確かつポジティブで、成長志向が感じられます
質問②「当院を志望した理由を教えてください」
この質問の意図
- 本当にその職場に合っているか確認したい
- 自院の取り組みを理解し、共感しているか
回答のポイント
- 事前に調べた情報を織り交ぜる
- 自分のキャリアや看護観との接点を語る
回答例
「貴院の“生活を支える看護”という理念に共感しました。これまでの回復期での経験を活かしながら、患者さんの生活に寄り添ったケアをさらに深めたいと考えています。」
良いポイント
- ホームページなどで得た理念を具体的に挙げている
- 「過去の経験」→「理念との一致」→「今後の成長」と話の流れが自然です
質問③「ご自身の強み・弱みを教えてください」
この質問の意図
- 自己理解と客観性を確認したい
- チームの一員としてどう活躍できるかを見たい
回答のポイント
- 強みは実例で示すと説得力が上がる
- 弱みは「今どう取り組んでいるか」を添えると好印象
回答例
「私の強みは、患者さんの小さな変化に気づく観察力です。以前、微熱と顔色の変化から肺炎の兆候に早く気づくことができ、早期の対応につなげました。
反対に、慎重すぎて行動が遅れることがありますが、優先順位を常に意識しながら改善に取り組んでいます。」
良いポイント
- 強みは“定性的”ではなく“定量的・具体的”な実例を含めており、再現性がある
- 弱みに対して前向きに努力している姿勢が示されている点が評価されます
質問④「5年後、どんな看護師になっていたいですか?」
この質問の意図
- 中長期的なキャリア志向があるか
- 成長意欲と継続的な勤務意志を確認したい
回答のポイント
- “働きたい姿”だけでなく“努力していること”も語る
- 志望先の環境に合った目標を設定する
回答例
「地域で暮らす高齢の方を支える看護に関心があり、5年後には在宅支援や訪問看護にも関われるよう、今から研修や資格取得に取り組みたいと考えています。」
良いポイント
- 「関心→努力→未来像」の流れが明確で、行動に裏打ちされたビジョンになっています
- 志望先にとっても魅力的な将来像で、採用後の成長がイメージしやすいです
このように、面接の質問にはすべて意味があります。単に“正解”を探すのではなく、自分の経験や想いをもとに「納得感ある回答」をつくることが、採用担当者の心に届く一歩になります。
答えづらい質問はどう乗り越える?
面接では、時に“答えにくい”と感じる質問が投げかけられることがあります。たとえば「退職理由」や「人間関係のトラブル」「ブランク期間の説明」など、伝え方によってはマイナス印象を与えてしまうことも。
ここでは、そんな質問にどう向き合い、前向きな印象を残すかのポイントを解説します。
退職理由は「前向きな転職動機」として伝える
ありがちなNG例
- 「人間関係が悪くて辞めました」
- 「残業が多すぎて耐えられませんでした」
このようなネガティブな言い方では、印象が悪くなりがちです。退職理由は“過去の否定”ではなく、“未来の希望”に言い換えて話しましょう。
伝え方のコツ
- 不満をそのまま伝えるのではなく、「改善したいこと」として再構成する
- そのうえで、転職先でどのような環境を求めているかに繋げる
回答例
「前職では夜勤が多く、自分の生活リズムが不安定になることがありました。今後は日勤中心の環境で、より安定して働きながら成長していきたいと考えています。」
人間関係のトラブルは“学び”に変換する
人間関係のトラブルに触れる場合は、相手への批判を避けることが絶対条件です。評価されるのは「どう捉え、どう乗り越えたか」という点です。
伝え方のコツ
- 「環境のせい」ではなく「自分が得た気づき」にフォーカスする
- トラブルの詳細は語らず、改善行動や学びを中心に構成する
回答例
「前職では業務の進め方について意見の相違がありましたが、報連相の重要性や相手の立場を意識する大切さを学びました。今後はチーム内での信頼関係を築く力をさらに高めていきたいと考えています。」
ブランク期間は「意味のある時間」として説明する
看護師としてのブランク(離職期間)がある場合、その理由を聞かれるのは一般的です。ブランク自体が問題なのではなく、「どう過ごしていたか」が評価対象になります。
伝え方のコツ
- 嘘はNG、素直に理由を伝える
- ブランク期間も学びや準備の時間だったことを強調する
回答例
「家族の介護のために一時的に離職しておりました。その間も医療知識を忘れないよう、定期的に看護雑誌を読むなどしていました。介護を通じて得た視点は、今後の看護にも活かしていけると感じています。」
言いづらい質問ほど、誠実さと冷静さが大切
最後に大切なのは、“隠さないこと”です。言いにくい内容であっても、冷静かつ誠実に伝える姿勢は、採用担当者にとって大きな信頼につながります。
注意すべきポイント
- 感情的にならないこと(他責にならない)
- 「それでも前に進もうとしている姿勢」を必ず添える
言いづらい質問への対策は、“正直であろうとする姿勢”と“伝え方の工夫”です。ネガティブな内容こそ、ポジティブな価値に変えることで、あなたの真剣さや人間性が伝わるものです。
面接官が見ている“本当のポイント”とは?
看護師の面接では、志望動機やこれまでの経験に関する質問が定番です。しかし、実は面接官が見ているのは「答えの内容」だけではありません。ここでは、採用担当者が重視する“見えないポイント”について解説します。
コミュニケーション力は「言葉の中身」よりも「伝え方」
面接で特に見られるのが人柄や伝え方です。これは、患者さんやチームとのやり取りにも直結するからです。
チェックされやすいポイント
- 話し方に一貫性があるか
- 質問に対して論点がズレていないか
- 相手の目を見て話せているか
- 相手の話を聞く姿勢があるか(頷き、相づち など)
面接官の本音
「この人と一緒に働きたいか」「患者さんに安心感を与えられる人か」などを感覚的に判断しています。
志望動機に“納得感”があるかどうか
志望動機は、あなたの価値観と職場のミッションが一致しているかを確認する重要な材料です。形だけの回答ではなく、「なぜその職場なのか」が伝わることが必要です。
評価されやすい志望動機の構成
- これまでの経験(事実)
- 転職を考えるようになった背景(理由)
- その職場を選んだ根拠(納得感)
例
「これまで急性期病棟で多忙な日々を過ごしてきましたが、患者さん一人ひとりと深く関わるケアに魅力を感じるようになりました。貴院の地域密着型の取り組みを知り、私の理想と重なる部分が多いと感じ志望しました。」
職場に馴染めるかどうか(カルチャーフィット)
どれだけスキルがあっても、「職場の空気に合うかどうか」も大切な判断基準です。病棟によっては忙しさや雰囲気が異なるため、その職場のカルチャーと合うかが見られます。
面接官が見ているポイント
- 協調性があるか(我が強すぎないか)
- 柔軟性があるか(環境の変化に対応できるか)
- 自己理解ができているか(自分の向き不向きを言語化できているか)
伝え方のコツ
- 「自分の強み・弱み」を素直に言えるかどうか
- 「どんな職場なら力を発揮できそうか」も話しておく
長く働いてくれそうかどうか
採用する側は、「長く安定して働いてくれるか」を重視します。短期離職のリスクを避けたいからです。
長く働く意思を伝える例
- 「学びながら長く続けたい環境を探している」
- 「○○のようなスキルを伸ばし、役立てたいと思っている」
ここで重要なのは、“育てがいのある人”という印象を残すことです。
まとめ:面接官が見ている“本当のポイント”
- 話し方・態度から伝わる人柄や姿勢
- 志望動機や回答に「納得感」があるか
- 職場に合いそうか、協調性があるか
- 長期的な視点で働いてくれそうか
面接で評価されるのは、完璧な回答ではなく、誠実さと自分なりの理由が伝わるかどうかです。質問にどう答えるかに加えて、「どう伝わっているか」を意識して臨むことが大切です。
迷ったら“相談する”という選択肢を
面接対策を一人で頑張るのは、とても大変です。とくに初めての転職では、「これでいいのかな?」「他の人はどうしてるんだろう?」といった不安や疑問が尽きません。
そんなときに頼りになるのが、キャリア相談や転職エージェントなどの“相談できる場所”です。
自分の強みや適性を「言語化」するサポートになる
面接での回答を考えるうえで、自分の経験や強みを整理する作業は欠かせません。ですが、自分のことは意外と自分では見えにくいものです。
キャリア相談では、カウンセラーやコンサルタントが対話を通じて、
- 経験の中にある“強み”の言語化
- 志望動機に一貫性を持たせる
- 「どう見られるか」の視点を補う
といった面を整理してくれます。
「比較されること」による自信喪失を防げる
面接前後に最も落ち込みやすいのが、「他の人の方が優れていそう」「私なんて…」という社会的比較による自己否定感です。これは特に、同期が先に転職を成功させたり、SNSでキラキラした投稿を見たときなどに起こりがちです。
しかし、キャリアの答えは人それぞれ。相談できる場があると、
- 自分に合ったキャリア選択を軸に戻せる
- 他者比較から自己理解への視点転換ができる
- 誰かに話すことで客観視でき、安心できる
といった効果が得られます。
LINE相談なら、気軽にプロに聞ける【誘導導線】
「いきなりエージェントに登録するのはちょっと…」という方でも、LINEでのキャリア相談なら気軽に一歩を踏み出せます。
- 面接の準備が不安
- 書類に自信がない
- 転職するかどうかもまだ迷っている
という段階でも大丈夫です。現役看護師の声をもとにしたアドバイスも受けられるので、「まず話してみる」だけでも視界が開けるきっかけになります。
“正直な答え方”が、あなたらしさを伝えるカギ
看護師の転職面接では、「どこも同じ質問なのに、うまく答えられない」と感じる方が多いです。その原因は、模範解答をなぞるだけでは自分らしさが伝わらないからかもしれません。
面接官が見ているのは、「一緒に働く仲間として信頼できるかどうか」「この人の働き方や価値観が、職場に合っているかどうか」といった人柄や考え方の部分です。
そのためには、よく聞かれる質問の“意図”を理解し、自分の経験や価値観に基づいて等身大の言葉で伝える準備が必要です。そして、迷ったときには一人で抱え込まず、プロに相談することも大きな一歩です。
自信がなくても、少しずつで構いません。まずは自分の言葉で、キャリアと向き合うところから始めてみませんか?