「やりがいはあるのに、何かが足りない」そんな夜勤明けの気持ち
深夜2時のナースステーション。静けさの中、患者のモニター音だけが規則正しく響く。ふとした瞬間に心によぎる
「私、このままでいいのかな?」
看護師として働き始めて5年。新人の頃に比べてミスは減ったし、後輩の指導も任されるようになった。仕事には“やりがい”もあるし、人間関係も悪くない。それなのに、なぜか満たされない。
どこかで、「このまま何年も同じことを繰り返すのかな」という不安が膨らんでいく。そして気づくと、肌は荒れて、生活は夜型になり、休日もぐったり寝て終わるだけ。
「何か変えなきゃ」と思っても、何を変えていいのか分からない。
そんなあなたへ向けて、この記事では
- なぜ“モヤモヤ”が生まれるのか
- 夜勤の影響と体のサイン
- 「転職=逃げ」ではない新しい選択肢
- ゆるやかに始められるキャリア設計のヒント
を、具体的にお伝えしていきます。
あなたが感じているその違和感は、「変わりたい」という心の声かもしれません。まずは、その気持ちに正直になってみませんか?
やりがいはあるけど、なぜか毎日が“淡々と過ぎていく”
成長している実感がないと、仕事は“作業”になる
看護師として5年目。手技にも慣れ、急変対応や申し送りもスムーズにこなせるようになった。それでもふとした瞬間に、「今日も昨日と同じだったな」と感じることはないでしょうか。
日々の業務がルーティン化してくると、仕事が“こなすもの”に変わってしまう感覚が出てきます。やりがいはあるけれど、「自分はこの1年でどれだけ成長できたのだろう?」と振り返ると、言葉に詰まってしまう【注1】。
「同じことの繰り返し」で心が麻痺していく感覚
病棟勤務は、命を預かる責任ある仕事。一つひとつのケアに丁寧さが求められるのは事実ですが、同時に“患者の入れ替わりと同じルーティン”が繰り返される日々でもあります。
こうした刺激のない環境が続くと、「なんのためにこの仕事をしているんだろう」と感じる瞬間が増えていきます【注2】。
「このまま何年も続けていくのかな?」という将来へのぼんやりした不安
大きな不満があるわけではない。だけど「このまま何年も夜勤をこなしていくのかな」と思うと、漠然とした不安が心のどこかに残り続ける。それは、将来に対しての“想像ができないこと”そのものが不安の正体かもしれません。
人生にワクワクできなくなってきた自分に気づくとき
社会人になったばかりの頃は、毎日が新鮮で、「もっと上手くなりたい」「もっと学びたい」とワクワクしていた。でも最近は、明日の自分が、昨日の自分と大して変わらない気がして、人生そのものの彩りが失われたような気がする。
この“モヤモヤ”は、人生に変化を求めているサインかもしれません。マンネリは、自分の成長を止めてしまう最大の敵です【注2】。
夜勤明け、ナースステーションの隅でふと手が止まった。 『私、このままでいいのかな?』
夜勤の疲労、将来への漠然とした不安、自分らしい働き方ができていない違和感。 そんな気持ちを抱えている看護師さんは、あなただけではありません。
この記事では、看護師が夜勤中に感じる不安の正体と、そこからどうキャリアを見つめ直せばいいかを解説します。
夜勤で崩れた生活リズムが、心と体に与える影響
夜勤が続くと「肌荒れ・ホルモンバランスの乱れ」が現れる理由
「最近、肌の調子がずっと悪い」「ニキビが治らない」そんな悩みを抱えていませんか?実は、夜勤などによる生活リズムの乱れは、肌やホルモンに直結するという研究があります。
睡眠ホルモンであるメラトニンは、肌のターンオーバーや修復に深く関わっています。しかし、夜間に活動することでその分泌が減少し、肌の修復機能が低下するのです【注5】。
また、夜勤中に摂る糖分・脂質の多い食事や、交感神経が優位な状態が続くことによって、肌への炎症が慢性化しやすくなることも指摘されています。
自律神経が乱れ、気持ちも不安定に
夜勤明けの日、「なぜかイライラする」「涙が出そうになる」ことはありませんか?これは、昼夜逆転によって自律神経のバランスが崩れた結果だといわれています。
人間の体は、日中活動し、夜に休むことでホルモンや感情が整うように設計されています。そのリズムが崩れることで、ストレス耐性が下がり、精神的な安定が保ちにくくなります【注3】【注4】。
休日も疲れが抜けず「ずっとだるい」状態が続く
「休日は寝て終わる」「どれだけ寝ても疲れが取れない」そんな状況は、慢性的な“睡眠負債”と体内時計のズレが原因です。
夜勤明けの休みでしっかり寝たつもりでも、体は完全に回復しておらず、徐々に“慢性疲労”に変化していきます【注3】。
小さな不調が“人生の幸福度”を下げていく
肌が荒れる。疲れが取れない。なんとなく気持ちが沈む。それらは“仕事の問題”というよりも、「働き方そのもの」があなたの生活の質を奪っているサインかもしれません。
健康が当たり前でなくなると、日々を楽しむ心の余裕がなくなり、人生全体にくすみが出てきます。それは、どんなにやりがいのある仕事をしていても避けられません。
「転職=逃げ」ではない。変化を前向きにとらえる視点
「辞めたい」は“甘え”じゃない。体と心の限界かもしれない
夜勤での疲労が続き、日々のやりがいが薄れていく中で、「転職を考えるのは甘えなのかな」「みんなも頑張ってるのに」と、自分を責めてしまう人がいます。
でも実際は、「辞めたい」と思った時点で、もう体や心が限界に近づいている可能性があります。その声にフタをするのではなく、“自分を守るためのサイン”として受け止めることが大切です【注6】。
看護師のキャリアに“正解”はない
「このまま病棟で続けるべき?」「訪問看護やクリニックも気になるけど…」
看護師の働き方は、今や病棟だけではありません。訪問看護、保育園、企業看護師、健診センター、美容クリニックなど、選択肢は年々広がっています。
そして大切なのは、“何を選ぶか”ではなく、“どう選ぶか”。誰かの価値観や常識ではなく、「自分がどう働きたいか」を軸にして選ぶことが、後悔しないキャリアを築く第一歩です【注7】。
転職は、キャリアを「積む」ための前向きな選択肢
「転職=逃げ」と思われることが怖くて、動けない人も少なくありません。しかし、キャリア形成において“転職回数”よりも重要なのは、その経験がどんな成長につながったかという“中身”です。
- 自分の働き方を見直すきっかけになった
- 新しい職場で視野が広がった
- 自分に合った働き方が見つかった
こうしたポジティブな転職経験は、あなたの人生に大きな価値をもたらします。
「まだ頑張れる」は危険信号かも
「まだ頑張れる」「みんなもやってるから大丈夫」そう思い続けて無理を重ねた先にあるのは、燃え尽き症候群や心身の不調です【注6】。
“変わること”は怖いかもしれませんが、変わらないまま限界まで頑張る方が、ずっと怖い未来かもしれません。
キャリアを変えたいなら、まず“自分の棚卸し”から
自分が「何にモヤモヤしているのか」を言語化してみる
キャリアを考えるとき、多くの人が最初に陥るのが、「やりたいことがわからない」「今のままでいいのかわからない」という“正体のない不安”です。
その不安をクリアにするためには、まず自分の気持ちや価値観を整理すること(=自己棚卸し)が必要です。
たとえばこんな質問を、自分に投げかけてみてください。
- 今の職場で一番ストレスに感じていることは?
- 「理想の1日」はどんな過ごし方?
- 本当はどんなふうに働きたい?
- 何をしているときに「自分らしさ」を感じる?
こうした問いを繰り返すことで、今抱えているモヤモヤの正体が少しずつ見えてきます【注8】。
キャリアの“軸”を持つと、転職のブレが減る
自己分析が進むと、自分にとって大切なこと、譲れない価値観が明確になってきます。
たとえば、
- 「夜勤なし・規則正しい生活」を重視したいのか
- 「専門性を高めたい」のか
- 「人と深く関わること」に喜びを感じるのか
これらは、転職先を選ぶうえでの「軸」となります。
軸がないまま求人を探すと、「給与」「勤務地」「人間関係」など目先の条件に振り回され、「結局何がしたかったんだっけ?」という迷いに戻ってしまうのです。
1人で考えるのが難しいときは、信頼できる人と話す
自分のことは意外と自分では見えづらいもの。「これがやりたい」と思っても、実はそれが思い込みだったりすることもあります。
そんなときは、キャリアの専門家や、同じ悩みを持つ仲間との対話が役に立ちます。hospassのLINEでは、看護師専門のキャリア相談も受け付けています。
「今の働き方でいいのかな」と思ったときこそ、誰かに話してみるタイミングかもしれません【注9】。
あなたの人生は、あなたが決めていい
周囲と比べても、正解は見つからない
友人が結婚して出産しているのをSNSで見て、「自分だけが取り残されているような気がする」そんな風に感じたことはありませんか?でも、人生のスピードは人それぞれ。
誰かと比べて焦るよりも、自分が本当に納得できる道を選ぶことが大切です。
看護師としてのキャリアにも、結婚や出産のタイミングにも、“正解の時期”はありません。大事なのは「自分のタイミングで、自分の意思で」動けることです【注10】。
一歩を踏み出した先にしか見えない世界がある
今の仕事にやりがいがあっても、どこかで「このままでいいのか?」と感じたなら、それは次のステージへのサインかもしれません。
新しい場所に飛び込むことは勇気がいります。でも、その一歩がなければ、今と同じ毎日がずっと続くだけです。そして、その一歩を踏み出した人の多くが、こう言います。「もっと早く動けばよかった」と。
キャリアの選択肢は、あなた自身の手で広げられる
「夜勤がつらい」「今の働き方に限界を感じる」そう思ったとき、転職は“逃げ”ではなく、“可能性を広げる手段”になります。
あなたには、もっと自由に、もっと自分らしく働く権利があります。そのために、まずは情報を集めたり、気になる職場の話を聞いてみたり、小さくてもいいから、動き始めてみましょう。
まとめ|“今のままでいいのかな”と思ったあなたへ
夜勤明け、ふとよぎったその気持ちは、あなた自身がこれからの人生を見つめ直したいという「サイン」かもしれません。無理に答えを出す必要はありません。でも、「気になった今」が、動き始めるタイミングです。
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参考文献・注釈一覧
マンネリ・成長実感の欠如・キャリアの停滞感
- 【注1】ナース専科「キャリアに迷った看護師たちの実例と心の変化」
- 【注2】看護roo!「“病棟のルーティンに飽きた”と感じたときにすべきこと」
夜勤の健康影響と生活リズムの乱れ
- 【注3】厚生労働省「交代制勤務における健康管理マニュアル」
- 【注4】日本看護協会「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」
- 【注5】National Sleep Foundation「夜勤勤務と肌・ホルモンへの影響」:https://www.sleepfoundation.org/shift-work-disorder
転職の迷いや再設計という視点
- 【注6】リクルート「看護師の転職動機と転職後満足度調査」
- 【注7】キャリア心理学研究「仕事のマンネリ化と心理的離脱に関する研究」
看護師の多様な働き方と選択肢
- 【注8】マイナビ看護師「病棟以外の看護師の働き方大全」
- 【注9】訪問看護ステーション連絡協議会「訪問看護師のライフスタイルとやりがい」:https://www.zenhokan.or.jp/
キャリア相談の心理的効果と小さな行動の大切さ
- 【注10】LINEヤフー「キャリア相談と行動心理に関する調査」
- 【注11】BJフォッグ博士『Tiny Habits』(小さな習慣が人生を変える):https://tinyhabits.com/