訪問看護って実際どう?リアルな1日の流れと収入を公開

病棟勤務とどう違う?訪問看護のリアルな働き方

病棟での勤務が日常になっていると、訪問看護という働き方は想像しづらいもの。けれど、実際にその扉を開いた看護師たちは「もっと早く知りたかった」と口をそろえます。

この章では、病棟との違いや1日のスケジュール、オンコールの実態など、訪問看護のリアルな働き方を丁寧に見ていきます。

勤務スケジュールの違い

病棟では早番・遅番・夜勤がローテーションで組まれており、生活リズムが不安定になりがちです。

一方、訪問看護は基本的に日勤帯(9:00~18:00程度)での勤務が多く、夜勤はありません。もちろんオンコール対応がある場合もありますが、シフト制での夜勤に比べると、体への負担は大きく軽減されます。

時間の自由度が高まることで、規則正しい生活が可能となり、プライベートの予定も立てやすくなるという声が多数寄せられています。生活リズムが整えば、メンタルや肌荒れなどの健康面にも好影響を及ぼすことが知られています【注釈①】。

訪問看護の1日の流れ(平日編)

訪問看護の1日は、朝のカンファレンスから始まります。その後、午前と午後にそれぞれ2〜4件程度の訪問が割り当てられます。

利用者の状態確認バイタルチェック医療処置(褥瘡ケア、点滴など)を行い、移動の合間にはカルテ記録もこなします。

昼休憩は基本的に事業所に戻ってとることが多く、15時頃には大半の訪問が終了。夕方には再度情報共有や明日の準備を済ませて、定時退勤するスタイルが一般的です。

時間に追われる」というより、「流れに沿って動ける感覚」があるという声もあります。

オンコールの実態と負担感

オンコール体制がある事業所では、当番制で電話対応や緊急訪問を行います。ただし全ての事業所にオンコールがあるわけではなく、希望しなければ免除できる職場もあります。

オンコール時の出動頻度は月に1〜2回程度とされ、常に緊張している夜勤とは異なり、ある程度の生活リズムは保てます【注釈②】。

また、緊急対応のマニュアルやサポート体制が整っている事業所も増えており、未経験者でも安心してチャレンジできるよう工夫されています。

働く場所が“家”になるということ

病棟では「病院」という決められた空間の中で動きますが、訪問看護では患者さんの“自宅”が職場になります。この環境の違いは、看護の質にも大きく影響します。

患者さんの生活背景家族との関係性を含めて支援することが求められるため、より「人」に寄り添った看護を実感できる場面が増えるのです。

対話の時間が多く、利用者の「ありがとう」がダイレクトに届く瞬間は、病棟では得られにくい満足感につながります。

訪問看護の収入は?気になる給与・手当の仕組み

「訪問看護って病棟より給料が下がるんじゃない?」そんな声をよく耳にしますが、実際はどうなのでしょうか。給与体系は病棟と異なる点も多く、歩合制や手当の有無によって差が出る場合も。

ここでは、訪問看護における給与のリアルと、ライフステージに応じた収入バランスについて考えていきます。

平均年収の比較と実情

訪問看護師の平均年収は地域や事業所により異なりますが、【厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)】によれば、病棟勤務の看護師の平均年収が約490万円であるのに対し、訪問看護師は約510〜530万円とやや高い傾向にあります【注釈①】。

特に訪問件数によるインセンティブ制度を採用している事業所では、努力に応じて収入を上げやすく、働いた分だけ反映されるという点でモチベーションにつながっているという声もあります。

インセンティブと固定給の違い

病棟勤務では毎月の給与が安定している反面、訪問看護は「訪問件数×単価」によって給与が決まる「出来高制」や、基本給+訪問手当という「ハイブリッド型」の給与制度を採用していることが多いです。

そのため、訪問件数が多ければ月収30〜40万円台後半も可能ですが、逆に件数が少なければ年収が下がるリスクもあります。

ただし、こうした報酬体系は職場見学や面談時にしっかり確認できるため、自分に合うスタイルを見極めることが重要です。

手当・福利厚生の有無

訪問看護でも、オンコール手当移動手当記録手当など、各種手当が支給される事業所が多数あります。さらに最近では、病棟と同様に社会保険厚生年金産休育休制度などの福利厚生が整備されている事業所が増えています。

中には「子どもの急病時の看護休暇制度」や「時短勤務OK」など、ライフイベントに寄り添った制度を充実させている職場もあり、結婚・出産を見据えたキャリア設計がしやすい環境が整いつつあります【注釈②】。

プライベートとの収支バランス

病棟勤務では残業代夜勤手当が加算されて月収が高く見えることがありますが、その分、体力的・精神的な負担は大きいもの。

訪問看護では日勤帯での就業が基本のため、夜勤明けのダウンタイムが不要で、週末や夕方の時間を自分のために使えるようになります。

副業自己学習趣味・育児との両立を図ることができるため、収入面以上に「暮らしの豊かさ」を得られるという実感を持つ方が増えています【注釈③】。

訪問看護に向いている人・向いていない人

「訪問看護って、1人で動くし不安…」そう感じる人は少なくありません。病棟のようにチームで支え合う環境とは異なり、訪問看護は基本的に単独での判断行動が求められる場面が多いです。

ここでは、訪問看護に“向いている人・向いていない人”の特徴を整理して、自分に合う働き方かどうかを考えるヒントを提供します。

訪問看護に向いている人の特徴

訪問看護に向いている人の共通点は、「自律的に動ける力」と「相手に寄り添う姿勢」を持っていることです。利用者の生活環境に入り込み、必要なケアを限られた時間内で行うには、状況判断や柔軟性が求められます。

また、チームとのやりとりはあるものの、基本的には現場で一人。だからこそ「自分で考えて行動したい」「一人の患者さんとじっくり関わりたい」といった思いがある方には適していると言えます【注釈④】。

不安を感じやすい人でもできる?

「私は優柔不断で不安も多いから無理かも…」という声もありますが、実は訪問看護は“はじめからできる人”より、“成長したいと思える人”に向いている仕事です。

事業所によっては、同行訪問研修体制が充実しているところも多く、ステップアップを前提とした人材育成を行っている場合もあります。最初は戸惑いがあっても、経験を重ねることで自信を持てるようになるケースは少なくありません。

向いていない人の特徴とその理由

一方で、「急変対応に不安が強すぎる」「1人で判断することに大きなストレスを感じる」「人との関わりより技術手技に集中したい」といった方は、病棟でのチーム医療のほうが安心感を得やすい可能性もあります。

訪問看護では、何より“その人の生活を支える”視点が重要です。医療行為以上に、コミュニケーション信頼関係の構築に重点を置くため、それが苦手だと感じる人には負担に感じやすいかもしれません。

自分が“向いている”かを見極めるには?

最も大切なのは、「向き・不向き」を思い込みだけで決めないこと。実際に訪問看護師として働いてみて、「こんなに自分に合っているとは思わなかった」という声も多く聞かれます。

可能であれば見学や面談の機会を活用し、自分の目で現場を確かめてみることが、何よりの判断材料になります。体験ベースで“納得できるかどうか”を重視してみましょう。

訪問看護師の1日の流れ

訪問看護の仕事は、「自由そう」「大変そう」といったイメージが先行しがちです。

でも、実際の1日はどうなのか?タイムスケジュールを通して、病棟勤務と比べた違いや、日々の働き方のリアルを体感してみてください。

ある看護師のスケジュール例【平日】

以下は、都内の訪問看護ステーションに勤務する看護師Aさん(27歳・元病棟勤務)の1日のスケジュール例です。

  • 08:45 出勤・ミーティング
    その日の訪問予定や申し送り事項の共有。カルテチェックも行います。
  • 09:30~12:00 午前の訪問(2~3件)
    慣れたルートで、自転車や車で移動。バイタルチェック、服薬管理、リハビリ指導など。
  • 12:30 事務所で昼休憩
    休憩は自分のタイミングで。コンビニやカフェで取る人も。
  • 13:30~16:00 午後の訪問(2~3件)
    医師やケアマネとの連携が必要なケースもあり。LINEや専用アプリで情報共有する場合も。
  • 16:30~17:30 記録・片付け・終業
    電子カルテへ記録入力し、明日の準備をして退勤。定時退社が可能な日も多いです。

病棟勤務との違いとは?

病棟では患者さんが「病院の中にいる」前提で動きますが、訪問看護では「その人の生活に入っていく」ことが基本です。そのため、スケジュールはある程度自分でコントロールでき、無理な残業や急なシフト変更も起きにくいのが特徴です。

対して、緊急訪問オンコール(※)の対応がある事業所もあるため、勤務形態を事前にしっかり確認しておくことが大切です。

※オンコール:夜間や休日などに急変時の対応を行う体制

自分の生活リズムに合わせやすい?

「夜勤がつらい」「生活が不規則で体調を崩しやすい」と感じていた看護師にとって、訪問看護は“生活のリズムを取り戻す”きっかけになることが多いです。

特に、結婚妊娠出産などライフイベントを迎える女性にとって、日勤中心で規則正しい働き方は大きな魅力となります【注釈⑤:ライフイベント心理学に基づく安定欲求の顕在化について】。

利用者との“距離感”が魅力

病棟では多くの患者さんを限られた時間で見る必要がありますが、訪問看護は1人1人に向き合える時間がしっかり取れるのが特徴。お宅に上がってケアを提供しながら、生活の背景家族構成本人の思いまで含めて支援していく仕事です。

人と深く関わりたい」という看護観を持っている人には、やりがいが大きく感じられるでしょう。

訪問看護の収入と待遇

訪問看護の仕事に興味はあるけれど、「お給料はどうなの?」「待遇に差はある?」と不安に思う方も多いかもしれません。病棟勤務と比較しながら、収入の実情や待遇のポイントを整理していきます。

年収は病棟と比べてどう?

訪問看護の年収は、地域やステーションの規模、訪問件数によって差がありますが、一般的に病棟勤務と同等か、やや高い水準であることが多いです。

  • 例えば、26歳・訪問看護2年目の看護師の年収実例は以下の通り
    年収:約550万円(月給35万円+賞与)
    ※週5勤務・オンコールあり・インセンティブ制度あり

訪問件数に応じてインセンティブが加算される制度を採用しているステーションも多く、自分の頑張りが直接収入に反映されやすい点も特徴です【注釈⑥:厚生労働省 令和5年度 訪問看護事業所調査報告書】。

福利厚生や働きやすさは?

多くの訪問看護ステーションは、以下のような福利厚生を整えています

  • 社会保険完備(健康・年金・労災・雇用)
  • 交通費支給、住宅手当あり
  • 産休・育休制度完備
  • 時短勤務の相談可能

特に子育て中の看護師に対して、フレキシブルな働き方ができる職場も多く見られます。オンコールの免除や、パート勤務など、ライフスタイルに応じた選択肢が豊富です。

インセンティブ制度とは?

インセンティブ制度とは、訪問件数に応じて追加報酬が支払われる仕組みのこと。1件あたり数百円〜2,000円程度の報酬が追加され、月間訪問件数が多ければ月収40万円以上も可能です。

ただし、件数に偏りが出ると収入が不安定になるリスクもあるため、「固定給+インセンティブ」のバランスや、「無理のない件数上限」の確認が大切です。

どんな人に向いている?

訪問看護は、以下のような希望を持つ人にとって理想的な働き方です

  • 夜勤なしで生活リズムを整えたい
  • 利用者一人ひとりと深く関わりたい
  • 結婚・出産などライフイベントと両立したい
  • 頑張りが収入に反映される環境がほしい

自分の生活も大切にしながら働きたい」と思った瞬間が、キャリアを見直すベストタイミングかもしれません【注釈⑦:合理的選択理論 – Becker, 1976】。

まとめ:訪問看護で描く、自分らしいキャリアと暮らし

病棟勤務で経験を積んできたあなたへ。

もしも今、夜勤で乱れる生活リズムや、これからの人生にふと不安を感じているなら——それは“次の選択肢”を考える合図かもしれません。

訪問看護は、看護師としての専門性を活かしながらも、自分の暮らしやライフステージに合わせた働き方ができる選択肢のひとつです。

  • 利用者と一対一で深く向き合うこと
  • 夜勤がなく、規則的な生活を送れること
  • 結婚や出産など人生の節目を迎えても、働き続けやすい環境があること

こうした日々の積み重ねが、いつか「この働き方に出会えてよかった」と思える未来につながっていきます。

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