夜勤のしんどさが語られることが多い中で、「むしろ夜勤のほうが合っているかも」と感じる看護師も少なくありません。夜型の生活リズム、静かな環境での業務、まとまった時間の自由など、夜勤ならではの魅力も。
この記事では、“夜勤専従”という働き方を選んで収入も生活も整えた看護師たちのリアルを紹介します。
夜勤だけで働ける「夜勤専従」という選択肢
「夜勤専従」という働き方をご存知でしょうか。これはその名の通り、日勤を一切行わず、夜勤のみで勤務するスタイルを指します。
一般的に看護師の夜勤は、日勤とのシフト制で組まれることが多いですが、夜勤専従の場合は完全に夜型に特化したスケジュールになります。
夜勤専従とは?基本の勤務スタイルを解説
夜勤専従の勤務は、月に8~10回程度の夜勤が中心。1回の勤務で16時間前後(仮眠含む)の長時間労働となることが多いため、勤務回数は少なめでも月給制や高額な夜勤手当で収入が安定します。
「夜勤のみ・少ない勤務日数でしっかり稼げる」のが最大の特徴です。
病棟/施設/訪問看護など、働ける場所はさまざま
夜勤専従が活躍できる職場は、急性期病棟や療養病棟、老人保健施設(老健)、有料老人ホーム、訪問看護ステーションなどさまざま。
特に高齢者施設や夜間対応型の在宅医療現場では、夜勤専門の人材ニーズが高まっています。病棟以外で夜勤に関わる選択肢が広がっている今、自分に合った場所を見つけやすくなっています。
夜勤が好き・得意な人にとっての適職になることも
「夜型の生活リズムが合っている」「日中の時間を自由に使いたい」「落ち着いた環境で働きたい」──そう感じる人にとって、夜勤専従はむしろ自分にフィットした働き方になる可能性があります。
勤務が少なくまとまった休みが取れる分、副業や趣味、家庭との両立がしやすいといったメリットも。夜勤に苦手意識のない人なら、“賢い選択肢”として十分に検討する価値があるでしょう。
夜勤専従で“高収入”を叶える方法とは?
夜勤は手当が高い──そのイメージは多くの看護師に浸透していますが、夜勤専従という働き方を選ぶことで「高収入」をより安定的に得ることができます。
ここでは、夜勤専従で収入を伸ばすポイントと実際の事例について紹介します。
1回の夜勤で2万円以上の手当も
夜勤専従の最大の特徴は、夜勤手当が収入の柱になること。病棟や施設によっては、1回の夜勤で2〜3万円の手当がつくケースもあり、月10回勤務すれば手当だけで20万円〜30万円前後が支給されます。
これに基本給や資格手当が加わるため、月収35万円以上、年収にして500万円超も現実的です(注釈①:施設別の給与差あり)。
高収入を実現している実例
例えば、都内の療養型病院で働く30代看護師Aさんは、夜勤専従で月9回勤務し、月給38万円/年収約540万円を達成。夜勤の合間には資格勉強の時間も確保しつつ、生活コストも抑えて堅実に貯蓄できているとのこと。
また、地方の老健施設で働くBさん(40代)も、夜勤週2回+パート勤務で年収470万円を確保しています。
稼げる職場を選ぶ3つのポイント
夜勤専従で高収入を目指すには、職場選びも重要です。特に以下のような視点がカギになります
- 夜勤手当の金額が明記されているか
- 月何回の夜勤で契約されるか(固定回数/シフト制)
- 仮眠時間や休憩体制が明確で、長く続けやすい環境か
この3点を事前に確認しておくことで、収入のブレが少なく、働きやすい夜勤先を見つけることができます。
夜勤専従に向いている人・向かない人
夜勤専従は高収入を狙える一方で、すべての人に適した働き方ではありません。自身の性格やライフスタイルに合っているかどうかを見極めることが、長く続けるためのカギとなります。
ここでは、向いている人・向かない人の特徴を整理してみましょう。
夜勤専従に向いている人の特徴
- 夜型の生活が苦にならない人
日中より夜のほうが集中できる、生活リズムが夜型寄りという人には適した働き方です。 - 落ち着いた環境で働きたい人
夜間は患者数も少なく、日中のようなバタバタ感がないため、静かな環境を好む人に向いています。 - 少人数での勤務が得意な人
夜勤は少人数体制のため、自律的に動ける人、責任を持って判断できる人が重宝されます。 - まとまった休みを取りたい人
月に10回前後の夜勤をまとめて入れることで、それ以外の日を自由に使える働き方が可能です。
向いていないかもしれない人の特徴
- 夜間の眠気や体調不良が出やすい人
どうしても体が夜型に適応できない人にとっては、慢性的な疲労や不眠が続く可能性があります。 - 人と多く関わりたい・学びたい人
夜勤はスタッフ数も限られ、教育機会や他職種連携が少ない環境になることが多いため、スキルアップ志向が強い方には物足りないかもしれません。 - 子育て中や日中の予定が多い人
睡眠時間が不規則になるため、家庭や育児との両立が難しいケースもあります。
迷ったときの“見極めポイント”
夜勤専従が自分に合っているかどうかは、実際に数回経験してみるのが一番です。以下のようなステップを踏むのもおすすめです
- スポット夜勤を試す(単発バイトや派遣)
- 夜勤と日勤の混合勤務から徐々にシフトする
- 体調・メンタル・生活リズムの変化を記録する
「向いているかどうか」は頭で考えるより、身体と心がどう反応するかを観察することが大切です。
夜勤専従で見逃せない“落とし穴”
夜勤専従は高収入や自由な時間を得られる魅力的な働き方ですが、実際には注意すべき「落とし穴」も存在します。事前に知っておくことで、転職後のギャップや後悔を防ぐことができます。
体調・生活リズムが崩れやすい
夜勤生活は、身体のリズムが乱れやすいことが最大のデメリットです。特に以下の点に注意が必要です
- 慢性的な睡眠不足や質の低下
- 食事時間の乱れによる消化器の不調
- 日光を浴びないことによるメンタル面の不安定さ
体調管理が甘くなると、免疫力の低下や生活習慣病のリスクも上がります。生活リズムを自分でしっかり整えられるかがカギです。
人間関係が希薄になりやすい
夜勤はスタッフ数が限られるため、チームでの交流や情報共有が不足しがちです。以下のようなケースが起こりやすいです
- 日勤スタッフとのすれ違いで、情報の共有不足
- 院内の研修や勉強会に参加しづらい
- 同僚との雑談や相談の機会が減る
その結果、孤独感や不安を感じる人も少なくありません。孤立しないよう、自分から情報を取りに行く工夫が必要です。
制度やキャリア支援を受けにくい
意外と見落とされがちなのが、キャリア支援や福利厚生面での不利です。たとえば、
- 昇進や役職がつきにくい
- 教育機会や評価の対象外になりやすい
- 日勤主体の制度(産休・育休、時短勤務など)と噛み合わないことも
また、「夜勤だけだから任される仕事が少ない」という評価がつきやすい職場では、スキルアップやキャリア形成が停滞してしまうこともあります。
夜勤専従を“賢く選ぶ”ためのチェックリスト
夜勤専従という働き方には魅力がある一方で、職場選びを間違えると「思っていたのと違った…」と後悔することもあります。ここでは、夜勤専従で失敗しないためのチェックポイントを整理してご紹介します。
給与体系や手当が明確になっているか
夜勤手当や深夜割増など、給与体系は職場によって大きく異なります。特に以下の点を事前に確認しておきましょう。
- 夜勤1回あたりの手当額(固定か変動か)
- 月何回の夜勤でいくらになるかのモデル年収
- 通勤手当・住宅手当などの有無
- 社会保険・雇用保険の加入対象か
【注釈①】非常勤夜勤専従の場合、週の勤務日数や時間数によっては社会保険未加入となる場合もあります。
業務内容と責任範囲をチェック
夜勤は少人数体制である分、1人あたりの業務負担や判断力が求められる場面が多くなります。特にチェックしたいのは以下の点です。
- 一晩で担当する患者・利用者数
- 急変時の対応フロー(ドクターや管理者への連絡体制)
- 清掃や事務作業などの兼務業務の有無
- 医療行為・処置の頻度と範囲
「夜勤だけだから楽」という印象を持つと、実際に働いたときのギャップに苦しむこともあるので注意が必要です。
長く働ける環境かどうかを見極める
高収入を得られるとしても、体力的・精神的に続けられなければ意味がありません。以下のような要素も含めて職場を見極めていきましょう。
- 休憩や仮眠の取りやすさ
- 他スタッフとの連携やサポート体制
- 夜勤専従者への研修やフォローアップ制度の有無
- 面接時の雰囲気や担当者の対応
実際に見学に行ってみたり、現在働いている夜勤専従スタッフの声を聞ける機会があれば、ぜひ活用してください。
夜勤専従は、働き方を自分で選ぶ時代にふさわしい柔軟な選択肢です。しかし、「選び方」こそが満足度を大きく左右するポイントになります。焦らず、情報を集めて、自分に合った環境を見つけていきましょう。
“夜勤専従”という選択肢が、あなたの人生を変えるかもしれない
夜勤だけで働く「夜勤専従」というスタイルは、看護師の新しい選択肢として注目されています。収入を確保しながら日中の時間を自由に使える働き方は、ライフスタイルを見直したい人にとって大きな可能性を秘めています。
もちろん、体力的な負担や勤務環境の差はありますが、「夜型が得意」「人間関係のストレスを減らしたい」「限られた日数でしっかり稼ぎたい」と考える人にはぴったりの選択肢です。
大切なのは、自分にとっての“心地よさ”と“将来設計”に合った職場を選ぶこと。今はまだ情報を集めている段階でも構いません。気になる方は、まずは一度相談してみることから始めてみませんか?
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